ガンバ大阪の選手であり続けるために…
本当に自分にとってもターニングポイントになる試合だったと思いましたし、今日結果を出せなければ僕はこのチームにいる資格はないな、というぐらいの気持ちで臨みました。だからこそ結果が出て安心していますけど、すぐにまた試合が来るので、次もまた結果を残せるように頑張りたいです
これは試合後、福田選手のコメントです。
東福岡高校からガンバ大阪にやってきてプロ6年目。
アグレッシブなプレー、愛されるキャラクター、サイドならFWからDFまで対応するポリバレントさも魅力の24歳。
ただ度重なる怪我、そしてゴール前での精度不足、ということもあり、いまだレギュラーをがっつりつかんだ年はなく。
そんな選手は、こんなぎりぎりの思いを持ってピッチに立っているのか、と痛感させられました。
本当に自分がガンバにふさわしい選手なのか、自問自答する日々に終止符を打つために、彼はあれだけ走るのでしょう。
怪我が怖い、また脳しんとうになったら・・・ポストに当たったらどうしよう・・・
そんな思いを封印し、あのクロスに飛び込んだ福田の覚悟に、なによりしびれました。
戦評
ここではウイングに福田を起用した理由について考察します。
まず京都はハイプレスが特徴なので、3トップがガンバのDFラインにどんどんプレッシャーをかけてくる、という状況が生まれることは想像できました。
そうなると、スペースは京都陣内に。
ジェバリの存在感で2センターバックはできるだけ中央へととどめ置けば、長いボールでガンバのウイング(福田、アラーノ)、と相手のサイドバック(佐藤、福田)が1対1になります。
こういった展開で競り合いやデュエルに強く、裏への抜けだしも得意な福田が、石毛や食野ではなく、先発起用された理由ではないかと。
事実、この試合はロングボールをつかってチャンスを作るシーンが数多くありました。また少しプレスが緩めば、ネタを経由してうまく前進するシーンもあり、京都もプレスの行き所に迷っているようにみえました。
福田湧VS佐藤のデュエルでは、福田にやや分があった中で、山本悠樹のサポートもあって右サイドからボールを進める回数は多かったように思います。
しかし前半はゴール前での詰めが甘く、0-0で折り返し。
後半開始は相手のプレスが勢いを増してきたことで、やや苦しい時間帯もありましたが、その後もロングボールも生かしながらチャンスをつくり、迎えた後半28分。
東口までボールを下げ、京都がプレスにきたタイミングで、一気に中盤のダワンへ。
ダワンは胸でジェバリへと流し、ジェバリはドリブルで仕掛けて相手最終ラインを押し下げました。
さらにつないで右サイドの食野へ。
この日切れていた食野が前を向いてパスを受けた時点で、京都の最終ライン(5枚)はそろっていましたが、ドリブルでの突破に警戒心を強めたはず。
食野は無理に仕掛けず、最終ライン5枚が下がったことで、右サイドでフリーになった山本へ。
山本は中央のジェバリへと柔らかいクロスを送ると、これはわずかに届きませんでした。
この時に京都のDF陣は
助かった…
と足を止めましたが、ひとり足を止めなかったのが福田でした。
頭から飛び込み、待望の先制ゴールをゲットしました。
その後は京都も昨季のガンバ戦術、パトリックを生かしたハイボール攻撃で猛攻を仕掛けてきましたが、三浦やダワン、そして鈴木と高さを持つ選手達が必死に体を張りました。
この1点を守り切り、引き分けを挟んで6連勝を達成となりました。
採点&寸評
2023 J1リーグ第20節 ホーム・京都サンガ戦(7月8日) | |||||
名前 | 先発 | サブ | 採点 | 寸評 | |
GK | 東口順昭 | 〇 | 6.5 | シュートストップで目立つシーン少なめもハイボール処理と効果的なロングキックで攻撃の起点に。決勝点もダワンへのピンポイントキックから。 | |
石川慧 | |||||
谷晃生 | △ | ||||
DF | 福岡将太 | ||||
半田陸 | 〇 | 6.0 | 190センチFW木下に高さで起点は作られましたが、肝心なゴール前ではほぼ仕事させませんでした。攻撃参加は控えめ。 | ||
藤春広輝 | |||||
三浦弦太 | 〇 | 7.0 | まさに〝ザ・ウォール〟。ゴール前で跳ね返させれば、右に出るものはなかなかおらず。ただ終盤のラインダダ下げは褒められず。 | ||
高尾瑠 | |||||
佐藤瑶大 | |||||
権敬源 | 〇 | 6.5 | 福岡不在で久々先発も、ミスなく終盤までプレー。前への強さは、やはり特徴ではあります。ただ1試合持たないのはもやはお約束。ポジション争いに再参戦する位置までは戻ってきたかと。 | ||
黒川圭介 | 〇 | 6.0 | 京都戦は痛い目を見るイメージありましたが、この日は耐えました。最後まで足をつらず走り切れたところもポジティブかと。 | ||
柳沢亘 | △ | ||||
江川湧清 | △ | ― | 時間短く採点なし。 | ||
倉田秋 | |||||
福田湧矢 | 〇 | 6.5 | 見ている方がヒヤヒヤするダイビングヘッドも彼の持ち味。突破力が発揮できない点は気がかりですが、値千金のゴールでした。 | ||
ネタ・ラヴィ | 〇 | 6.5 | プレスに来てくれると〝ごちそうさま〟とばかりにはがす真骨頂を発揮。京都MF陣は思ったでしょう。「イスラエル、レベルたけえ…」と。 | ||
塚元大 | |||||
ダワン | 〇 | 6.5 | 苦しい展開で最後まで足止めず、三浦とともにゴール前で壁に。懸念のスタミナ面もこの日は最後まで問題なし。 | ||
杉山直宏 | |||||
山本悠樹 | 〇 | 6 | タッチがイマイチで外れの日のにおいもありましたが、まるで熟練パン職人ばりのふんわり柔らかクロスで決勝点をアシスト。 | ||
中村仁郎 | |||||
アラーノ | 〇 | 5 | スピードのある京都DF福田に手を焼き、前半でイエローもらって早めの交代。次に期待しましょう。 | ||
石毛秀樹 | △ | ― | 時間短く採点なし。 | ||
FW | 宇佐美貴史 | △ | 5.5 | リード後の投入で無理な仕掛けはせず。時間をつくるプレーに終始。終盤の1トップは少々厳しめ。 | |
食野亮太郎 | △ | 6.5 | 京都に傾いた流れを引き寄せた勝利の立役者。ドリブルに力強さとキレを感じさせ、やっとメシノ感が漂う試合に。 | ||
鈴木武蔵 | △ | 6 | リード後の投入で守備要員として機能。セットプレーのストーン役は効いていましたが、サイドの守備は下がりすぎな気も… | ||
ジェバリ | 〇 | 5.5 | 起点としては極上も、フィニッシャーとしては精度欠きました。ひげ剃ってからやや下がり調子なので、伸びるのを待ちましょう。 | ||
山見大登 | |||||
監督 | ダニ・ポヤトス | 6 | 福田の先発起用、食野投入でウイング左右入れ替えまでバチコン当たった名采配。終盤の守り切りへの移行もスムーズでした。お見事。 |
最下位・湘南とは勝ち点差10に
これで13位に浮上し、いよいよ残留争いからおさらばの感も漂ってきました。
福岡の出場停止や、倉田、佐藤の負傷などイレギュラーもある中で、代わって出場した選手もしっかりと結果を出してきたことに、チームの成長を感じます。
なにより、前半戦でみせた繋ぎのミスなどが減り、相手が前から来るなら裏、引いてくるなら手前、にボールを送るという意識がはっきりと浸透してきたことが力強く。
裏に蹴るならそれに適した選手、つなぐなら他の選手、と使い分けが出来る当たりも、頼もしい限り。
ただし、さらにここから上位に食い込もうと考えると・・・
ウイングの個の力(突破力)、センターバックのビルドアップ能力(福岡を除く)、半田陸が移籍した際の右サイドバック、ジェバリ、ネタ、悠樹、ダワンが負傷した際の代役候補、など不安が残る点もあります。
いよいよ他クラブでは獲得の噂もちらほら・・・
しかしガンバは出て行く噂(すでに現実化も1件・・・)ばかりで寂しい限り。
近いうちに、ガンバエコー的補強戦略のおすすめ選手、なる記事もアップしようと思いますので、お楽しみに。
夏が暑くなる一方で、Tシャツで過ごす毎日となっておられると思います。
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