【忖度なき採点&寸評】5連勝で3位浮上。なぜガンバ大阪は強いのか。リーグ最少失点のデータを読み解く前半戦総括。2024/6/22ガンバ大阪2-1ヴィッセル神戸@パナスタ

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目次

前書き

サッカーとは、強いものが勝つとは限らない。勝ったものが強いのだ。

こんな使い古された格言を思い出した神戸戦でした。

内容では上回られながら、我慢強く守り、そして一瞬の隙を突く。

したたかに、試合巧者に。

いつの間に、ガンバ大阪はそんなチームに成長していたのか。

そんな謎をひもとく旅に出たいと思います。

戦評

メンバーは固定されてきたスタイル。

立ち上がりこそボールは持ちましたが、ゴール前まではなかなか運べない展開になりました。

そして前半21分、セットプレーから仇敵・大迫にネットを揺らされてしまいます。

このシーンでは大迫のマンマーク役、鈴木徳真が相手ブロックで外され、ゾーンの守備担当だった中谷も一瞬遅れる形に。

大迫のシュートは、お見事というしかありませんでした。

しかしこれは判定に救われ、ノーゴールに。

昨今、セットプレーはマークを他の選手がブロックする、というプレーなど常識。

徳真の倒され方がうまかった、と言えるのでは。

ただ正直、もしあの判定をガンバのゴールでされていたら・・・ぶちぎれていますwww

それでもこのプレーで流れは神戸に傾き、さらに山田が負傷交代。それも徳真との接触で、という当たりに、どこか嫌なムードが漂いました。

前半終了間際には波状攻撃もありましたが、0-0でハーフタイムへ。

後半も神戸ペースのまま続く中で、ポヤトス監督の決断が大きな分岐点に。

0-0の後半21分、宇佐美に代えてジェバリ、ダワンに代えてネタを投入。

守備の強度を落とさないため、宇佐美とジェバリは同時起用しないという今季の鉄板ルールを保ちながら、ネタを入れて中盤の支配力を高めてきました。

一方で神戸は、ガンバより早い後半16分にMF井出→FW宮代、MF扇原→MF井手口という交代策。

直後には武藤が決定的なシュートを放ちましたが、一森がビッグセーブ!!

ゴールと同じくらいの価値があるスーパープレーが、流れを引き寄せました。

後半21分、右サイドからジェバリを狙った高いクロスを相手がクリアしたこぼれ球に・・・

ウェルトーーーーーーン!!!!

ボールがバウンドした直後のタイミングを左足でたたき、ゴール左にねじこむ超高難易度のシュートで先制。

ジェバリがいたからこそ、半田は高いクロスを選択したはず。

0-0で一発のある宇佐美を代える決断は難しかったでしょうが、ポヤトス監督の判断が吉と出ました。

その後もネタが中盤でボールを失わず、相手守備の矢印を常に折るプレーを連発。

DF陣も神戸の圧力に決してゴール前に引きこもるわけではなく、跳ね返し続けました。

そして同40分にオウンゴールで追加点。

これはCKのキッカーを務めた鈴木徳真が、嫌らしい弾道、コースのキックを送ったおかげでしょう。

終盤、福岡のファウルでPKを献上し、神戸FW武藤に決められましたが、このリードを守り切って勝利。

昨季王者・神戸を下し、5連勝で3位浮上という最高の形で前半戦を締めくくりました。

採点&寸評

GK 22 一森 純【6・5】脈絡なくゴール前でパスミスを見せるシーンには血管がピクピクしましたが、今日はあのスーパーセーブですべて帳消しにしましょう。

DF 2 福岡 将太【6】間違いなく今季成長しているな、と。大迫や武藤という嫌らしい相手に対し、真っ向からぶつかるだけではなく、駆け引きで互角に。PK献上したプレーは焦りが出ていましたが、それ以外はほぼ完璧だったのでは。

DF 3 半田 陸【4・5】こぼれ球奪取数の多さや、2得点ともに絡んだプレーなど褒めたい気持ちもわからないではないですが、サイドバックとして1試合に3本もスピードでちぎられていては…そういう相手を止めるのが、一番の持ち味のはずです。反省求む。

DF 4 黒川 圭介【5・5】ここのところ、評価の難しいプレーが続いているなと…ミスは多くはないですが、攻守で存在感が際立つわけでもなく。しかし守備意識を高く保つ中で、決定的な攻撃シーンにも絡む、というベースはできあがりつつあるのかなと。

DF 20 中谷 進之介【6】大迫にネットを揺らされたシーンは肝を冷やしましたが、それ以外はほぼノーミスでしょうか。変につり出されたりせず、大事な場所を埋め続ける、という意識がいいんですよねえ。

MF 9 山田 康太34’【5】不運な負傷でまた離脱とは…せっかく状態が上がってきていただけに残念すぎます。

MF 16 鈴木 徳真【7】個人的にはこの日のMOM。PK取り消しの大仕事だったり、山田を削っちゃったり、カウンターの芽をつぶしてしっかりイエローもらったり、最終盤にも精度高いCKでオウンゴールを誘発したり。変なのも混じってますけど、このチームで最もしたたかで、サッカーをよく知っている選手ではないかなと。

MF 17 山下 諒也86’【6】ゼロから一気にギアの上がるプレーは、まるで原付みたい。初瀬は嫌だったはずです、対峙するのが。決定的な仕事はできませんでしたが、常に相手にストレスを与える選手です。

MF 23 ダワン66’【6】今日は徳真より後ろ目のポジションで、より守備の比率が高かった気もしますが、機を見てゴール前に走る気概も忘れてはいませんでした。30分に休息がどこまで大きいかはわかりませんが、万全の状態で鹿島戦も頼みます。

MF 97 ウェルトン86’【7・5】ボールがピッチにはねて上がった瞬間を左足でバチッとたたくプレーはまさに神業。こちらは大型バイク並の排気量で何人も交通事故に巻き込みながら、あんなシュートまで決めてくれるとは優良助っ人過ぎ。

FW 7 宇佐美 貴史66’【5・5】シュートのフィーリングがあまりよくなかったのかな、と思いましたが、そんな日でも守備でしっかり走ってくれました。もう昨季とはまるで別人。ここまで人って変わるものか、と驚いております。

【途中出場】

DF 46 松田 陸86’【―】時間短く採点なし。

MF 47 ファン アラーノ86’【―】復帰おめでとう!!神戸のロングスロー封じとしてタオルを隠したマリーシアも含め、彼の復帰は大きいです。

MF 6 ネタ ラヴィ66’【6】疲れてきた時間に、あのどこかぬるっとしたボールタッチから右、左にボールを動かされたら、相手はいらついてしゃあないでしょう。

FW 11 イッサム ジェバリ66’【6】攻守の切り替えが断然速くなっていると感じるのは私だけでしょうか。みんなが疲れてくるはずの夏場、彼がキーマンになるのでは、という予感すら抱かせます。

FW 13 坂本 一彩34【6】スクランブル投入にもエンジン全開で役目を果たしてくれました。

ダニエル・ポヤトス監督【6・5】キャプテンを早めに代える交代策も見事にはまり、これで5連勝。守備の安定、攻撃のスピードアップ、と次々と少しずつチームを成長させ、いよいよ3位に。ここから先、タイトルを狙うための準備は整ったのではないでしょうか。

あとがき

この勝利も、やはりベースにあるのは今季リーグ最少失点(14点)を誇る守備陣の安定でしょう。

神戸戦後にXアカウント@gambaecho)で行った前半戦のMVP投票(745票)は、1位に中谷(52パーセント獲得)が輝いたところからも、皆さん感じているところではないでしょうか。

ちなみに2位が宇佐美(34パーセント)、3位が一森(10パーセント)、4位がウェルトン(4パーセント)。

ごめんなさい、4人は私が選んだので、鈴木徳真を入れていれば、違った結果になったかもしれません。

しかし・・・

Jリーグのデータでガンバの守備数値を見てみると、結構意外なんですよね。

タックル数は13位、ブロック数は10位、インターセプトは16位、空中戦勝利数は15位、こぼれ球奪取数は12位。

全然多くないやん!!!

ただタックル成功率は2位、1対1勝利数、ファウル数は4位。

個人で言えば、一森のセーブ率(セーブ数÷(セーブ数+失点)の数値)はリーグ2位で、1位は出場数の少ない名古屋GK武田(元ガンバ!)なので、実質は1位。ブロック数は中谷が14位。デュエル勝利数(1対1)は、徳真がリーグ30位で、ダワンが34位。

これらのデータから見えてくるのは、個人というより、チームのとしての守備が機能しているという点。

タックル数が多くないのに、タックル成功率が高い、ということは、チーム全体としての守備網が機能し、ボールを奪いやすい状況を作り出せているから。

だからデュエル勝利数で言えば、個人の数字はそこまで突出していなくても、チーム全体としては多くなっているのかなと。

やはりその守備を最後尾から統率し、コンパクトな陣形を保ち続けている中谷の存在が大きいことは間違いありません。さらに守備網から漏れて飛んできたシュートを止める一森の力も躍進の鍵でしょう。

もちろん宇佐美の好調、両ウイングのスピード、全員の献身があってこその3位浮上。

ただ守備が安定するとここまで安定した戦いができる、というのは、3冠を取った2014年以来の感覚ではないでしょうか。

鹿島、町田と続く上位陣との対戦に、こんなに自信を持って臨める日が来るなんて・・・

まだまだ感慨に浸るには早い。

そう自分に言い聞かせて、勝負の夏に挑んでいきたいと思います!!

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!!

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この記事を書いた人

ガンバ大阪を深掘りし、より試合観戦やサポートをより楽しめる場所に。コラムや【忖度なき採点&寸評】で辛口甘口、ユーモアを交えつつ。 名前の由来は『Liverpool echo』より。愛するワンクラブを徹底して分析する場所を目指します。

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