前書き
こんな試合が見たかった・・・
もちろん、このサッカーが好きなわけではありません。
それでも、今のマリノスに勝つにはこれしかなかった。
なりふり構わず、格好悪くても、選手たちの必死さはビンビンと伝わってきました。
もはや、小難しい戦術などを語る時期はとっくに過ぎています。
意地、プライド、気持ち。
すべてをピッチに置いてきてくれた95分間でした。
ガンババス停車、攻撃はウサパト頼み
0-0に終わった柏戦からの先発変更はふたり。
ペレイラに代わってパトリック、食野に代わって小野瀬をチョイスしてきました。
これはマリノスとの力関係を受け入れ、守備に重きを置く、という選択の中から生まれた発想でしょう。
しかし、弱者の牙が首位・マリノスの喉元に食い込みました。
前半8分、するするっと上がってきた高尾のクロスがDFにブロックされてCKに。
キッカーは宇佐美。
ターゲットはパトリック(189)→三浦(183)→ダワン(177プラス跳躍力)→昌子(182)といった順でしょうか。
敵で高さがあったのはエドゥアルド(184センチ)、Aロペス(185センチ)のみ。ここが、ガンバがマリノスに優位に立てるはっきりとしたポイントでした。マリノスは高さのあるふたりをゾーンで中央に配置し、小柄な選手が高さのある相手にマンマークし、少しでも制限する、という守り方。
宇佐美のキックがファーサイドに上がると、パトリックと三浦、昌子がニアサイドから中央へ。
ファーにはほぼダワンのみ。相手マークは永戸(173センチ)。
跳躍力も考え、ダワンが負けるはずはなし。
折り返しがパトや昌子ら中央密集を越えてファーに流れると、エドゥアルドは中央に突っ込んできたパトに気を取られ足が止まり、Aロペスは棒立ちに。ここでアラーノ、三浦、高尾の3人がフリーに。
このうち、三浦のポジションはオフサイドくさかったのですが、その前でアラーノが頭で押し込み、先制しました。
宇佐美の正確なキック、ダワンの高さと折り返し、そして逆サイドでゴールへのきゅう覚をみせたアラーノと、3人のプレーが完璧にかみ合いました。
しかしここからは地獄の時間帯に。
マリノスは両ウイングが大きく開き、ガンバDFラインを広げてその間を狙おう、という攻撃を繰り返してきました。
それに対し、ガンバは4-4のブロックをがっちりと形成。時にはパトリックも中盤に戻り、4-5-1で守備を行いました。
ウイングに出た時はブロック全体がスライドして動き、決してSBとCBの間をあけない、という守備に徹しました。
絵の通り、まるでバスを止めているかのように。
そのため、サイドチェンジで逆サイドにボールが流れたときは、遅れて出たSBやSHが、相手ウイングと1対1にさらされることに。
ここで高尾、黒川の両SBが、SHやボランチ陣の助けも借りながら、必死で食い止めました。
マリノスも左SBの永戸が左ウイングエウベルと絡んで、サイドの深い位置まで攻略してきたシーンも。
マイナスに折り返され、水沼に完全にフリーで打たれたシーンもありましたが、これはゴールライン上で黒川が執念のブロック。
その他、ブロック外からのシュートは、きわどいコースに飛ぼうがすべてヒガシがストップしました。
マリノスの切り替えが早く、ボールを奪ってもすぐに奪い返されて自陣に張り付けられた時間は、まるで拷問でした。
失点は時間の問題に思えました。
それでも、選手たちは必死に体を張り、耐えて、耐えて、耐えしのぎました。
そして後半33分。
中盤で宇佐美がためて、パトを経由して右の小野瀬へ。
するとその後方から、猛然と駆け上がってきたのは高尾。
エリキ、そして途中出場の仲川を封じる重要な仕事を黙々とまっとうしてきた右サイドバックが、力を振り絞ってオーバーラップをみせました。
グラウンダーのクロスはマイナスで待ち構えたアラーノにピタリ。
シュート、はDFにあたってループとなり、ゴールへ。
入ってまえ!!
ガンバサポ全員が祈った軌道は、GK高丘に阻まれました。
流れの中でつくった初めて、そして唯一の決定機で追加点を奪えず
「ダメか・・・」という思いが心を支配しそうに。
しかし、その1分後。
本当の歓喜が待っていました。
採点&寸評
GK 1 東口 順昭 7・5
神・降臨。
これ以上の言葉はいらないでしょう。
DF 13 髙尾 瑠 7・5
90+2分アウト。
僕の中ではヒガシと並ぶMVP級の活躍。
2度の攻撃参加で、2本のCKを獲得。
これが二つともゴールに。
特に終盤、もう体力的にはギリギリだったろうに、攻撃参加で決定機を作り、そのCKから2点目に。
おとなしい顔をした彼が、ガンバをJ1に残したいという思いで見せたフルスプリントに、胸が熱くなりました。
DF 5 三浦 弦太 6・0
序盤は細かいポジショニングのミスがあり、ひやひやさせられました。
しかし終盤はしっかりとゴール前の壁となり、無失点に貢献してくれました。
DF 3 昌子 源 6・5
こういう展開で見せる重厚感は、さすがと言わざるを得ません。
追い詰められた方が、いいプレーをするタイプでしょうか。
DF 24 黒川 圭介 7・0
持ち味の攻撃参加はほとんど出せず、守備に奔走し続けました。
ただサイドへの素早いスライド、逆サイドから攻められた時の絞り、それでも間に合わない時にゴールカバー、とSBとしての仕事はまっとうしました。
MF 8 小野瀬 康介 6・5
79分アウト。
久々の先発、地元・横浜でもっと攻撃的にプレーしたかったでしょうが、しっかりと守備を全うしました。
かつてマリノスからオファーを受けた2020年。
彼が断わったことで、代わってマリノス入りが決まったのが水沼宏太だったはず。
大きく開いてしまった二人の立場の差に、ガンバサポの一人として申し訳ない思いはぬぐ言えません・・・
ただ、残ってくれてありがとう、と今もう一度、言わせてください。
MF 29 山本 悠樹 6・0
センスを発揮するような時間は与えられず、シュートブロックやカバーリングでユニホームを汚し続けました。
バスが崩壊したかったことに、大きく貢献しました。
MF 23 ダワン 6・5
74分アウト。
完璧なアシストに加え、相手が中に入れてくるボールに次々と反応する姿は、やはりあなたの能力が高いことを再認識させてくれました。
序盤に不可解判定でイエローをもらったに関わらず、ギリギリのプレーで耐え忍び。
ただ、1試合体力が持たないところは、大きな課題です。
MF 47 ファン アラーノ 7・0
90+2分アウト。
先制点のすばらしさは言わずもがな。
決して守備が好きなわけではないでしょう。
チームのために、バランスを崩さすにしっかりとブロックをつくり、チャンスと見るやいなや疲れた体に鞭を打ってゴール前へ。
ただただ、頭が下がります。
FW 18 パトリック 7・0
90+2分アウト。
ぶち当たられても、倒されても、トラップミスしても、決して足を止めずに戦ってくれました。
あのゴールが、今年一番うれしかったかもしれません。
残留すれば、ガンバ史に残るおなかトラップからの追加点となるでしょう。
FW 39 宇佐美 貴史 7・0
うずくはずの右足で、ドンピシャCKでアシストのアシスト。
その後は必死のキープで何とか反撃の糸口を探り続けました。
周囲の足がつっていることで、自分をピッチに残してくれ、とベンチに主張する姿も、まさに闘将そのものでした。
交代選手&監督
MF 6 山本 理仁 6・5
74分イン。
センスもなにもかもかなぐり捨て、球際でファイトしてくれました。
さらにゴール前、ダイビングヘッドで決定機も。
決めていれば最高でしたが、J1初ゴールは次にお預け。
FW 40 食野 亮太郎 7・0
79分イン。
どこかの誰かが、適当に蹴ったキック・・・などとのたまっていましたが。
1点目と同じく、CKはニアをおとりにファーからの折り返しが、チームからの狙い。
ファーに流れたボールを、相手の守備陣形が整う前に、適当でもなんでも素早く中に折り返すことが、何より大事だったはず。
投入されたファーストプレーで、それをアウトサイドで正確にやってのけたアシストに、どこに適当さがあるのか教えてほしいです。
控えめに言って最高です。
FW 9 レアンドロ ペレイラ ―
90+2分イン。
時間短く採点なし。・
も、ピッチ外でボールを拾うふりして靴紐を結び直し、ボールを拾おうとしたスタッフをにらみつけて拾わせず。
ピッチ外で20秒を稼いだFWは、他にいないのではないでしょうか。
DF 2 福岡 将太 ―
90+2分イン。
時間短く採点なし。
MF 14 福田 湧矢 ―
90+2分イン。
時間短く採点なし。
松田浩監督 7・0
パトリック、ダワンの先発起用がともにどんぴしゃり。
松田監督の守備戦術がなければ、この圧力には耐えきれなかったのではないでしょうか。
ゴールに歓喜するその姿は、まがうことなく“ガンバの漢”でした。
お見事。
あとがき
しかし福岡や湘南が勝利、京都も引き分けたことで16位までしか浮上できませんでした。
まだまだ地獄(J2)に片足を突っ込んでいることは間違いありません。
2022年シーズンは、地獄から最後は天国を味わったシーズンやったな・・・
そんな思いを味わいたいです。
下のTシャルにも、そんな思いを込めています。
https://market.orilab.jp/item/631c3d5a5b001
泣いても笑ってもあと2試合。
最後まで闘いましょう。
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